[ 2026-05-22 09:29 ]
1. 基本理念
医療法人咸宜会 日田中央病院(以下、「当院」といいます)では、患者様および利用者の皆様の尊厳を保持し、その人らしい自立した生活を支援することを最優先の使命と考えています。身体的拘束は、対象者の行動の自由を制限するだけでなく、身体的・精神的機能の低下を招く恐れがあるため、原則としてこれを行いません。
「身体的拘束はケア・医療の敗北である」
私たちは、この強い認識を持ち、拘束を必要としない環境の実現に向けて、組織全体で継続的な努力を続けてまいります。
2. 身体的拘束ゼロに向けた基本方針
当院では、安易な身体的拘束に頼らない医療・ケアを徹底するため、以下の3つの原則を厳守
・身体的拘束の原則禁止: いかなる理由があっても、適切な手続きを経ない安易な身体的拘束および行動制限は行いません。
・日常的なアプローチの工夫と見直し: 「なぜその行動が起きるのか」という背景や原因(体調不良、認知症に伴う不安、環境の不適合など)を多職種でアセスメントし、環境調整やケア方法の工夫による解決を第一に図ります。
・専門性の向上と組織的取り組み: 職員一人ひとりが身体的拘束による弊害(身体的廃用、精神的苦痛、倫理的問題)を深く理解し、拘束を排除するための技術や知識を学ぶ研修を定期的に実施します。
3. やむを得ず身体的拘束を行う場合の「3つの要件」
患者様または利用者の皆様の生命または身体を保護するため、緊急かつやむを得ない事態が発生した場合に限り、以下の3つの要件すべてを満たす場合のみ、一時的・限定的に身体的拘束を行うことがあります。
項目・要件 具体的な内容
① 切迫性 本人または他の患者様・利用者の生命、身体、精神が
危険にさらされる可能性が著しく高い状態であること。
② 非代替性 身体的拘束を行う以外に、その危険を防ぐための医療・
ケア上の代替手段が他に存在しないこと。
③ 一時性 身体的拘束を行う時間が、危険を回避するために必要な
最少限の短時間であること。
4. 身体的拘束を行う際の手続き手順
万が一、上記の「3つの要件」をすべて満たし、やむを得ず身体的拘束を実施する場合は、以下の厳格な手続きと管理を行うものとします。
①組織による決定と審議
多職種(医師、看護師、ケアマネジャー、介護職員等)で構成する「身体的拘束適正化委員会」において、要件を満たしているかを慎重に審議し、拘束の是非、具体的な方法、実施時間を決定します(緊急時は事後速やかに開催)。
②事前説明と同意の取得
身体的拘束を行う理由、具体的な方法、解除に向けた条件について、事前に本人(可能な場合)およびご家族に丁寧な説明を行い、書面にて同意をいただきます。
③徹底した観察と詳細な記録
拘束実施中は、対象者の状態、バイタルサイン、精神的な変化を頻回に観察し、実施理由や経過について指定の記録シートにすべて克明に記録します。
④早期解除に向けた継続的評価
身体的拘束の継続が必要か否かについて常に観察と評価を行い、危険が去ったと判断された、あるいは代替案が有効となった場合は直ちに拘束を解除します。
5. 身体的拘束適正化のための組織体制
身体的拘束適正化委員会の設置
院内に「身体的拘束適正化委員会」を設置し、定期的に(月1回以上)会議を開催します。施設内での事例分析や、身体的拘束の発生リスクがあるケースへの予防策・代替手段の検討を多職種で実施します。
職員研修の定期開催
全職員を対象として、採用時および定期的な(年2回以上)研修を実施します。身体的拘束の最小化、倫理的配慮、および高齢者虐待防止に関する理解を深め、ケア技術の向上に努めます